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Scrapboxは共有ドキュメントとしては使いづらい

Scrapboxは、個人のメモツールとして使うのならいいかもしれないが、少なくとも多人数で参照する共有ドキュメントツールとしては良いと思っていない。似た話題でScrapboxはストック情報を置く場所には向いていないというのもある。

なぜか。おそらくだが「変更のレビューができない」ところが最も向かない要因なのだろうと思う。GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかたには「SSOTとなるドキュメントを作って、必要に応じて変更する」ことを推奨しているが、Scrapboxではメンバーの合意がなくてもその場で変更できてしまう。

運用でカバーするなら、レビューが必要な変更をするときに別のページを作って変更案を書くことになるが、そうすると2つのバージョンで複製が生じてしまってSSOTにならない。別の方法として、RFCのように「差分だけを新しいページに書いて更新していく」方法もあるが、この場合も最終的に複数のドキュメントを脳内でマージしていく必要が生じるので、SSOTとならない。

レビューができないことによる弊害はADRのレビューのスタンスはあまり研究されていない気がするでも挙がっている。

普段、編集提案機能のないツールでADRを書いていて、議論のコーナーを作って自然文でやり取りしているのだけど、これではツールの支援が足りなくて、めんどくさい。ADRを、読者を説得するための文章と考えると、論理的な構造とか、文章の狙いとか、すべて目的に沿って組み立てられている必要があるので、自由にコメントをもらって、そのたびに議論の内容をそのまま付け足していくと、流れがだんだん悪くなり、文章のクオリティが下がっていくのは明らか。

GitHubのPull Requestの場合、suggest changeすると、好きだったら取り入れてください、とできる。意見ではなくて、編集提案として完成形を出せるので、レビュワー側から、ここにこう書いてもらえるならapproveできますけど、というルールの上でスタンスを明らかにできるし、ここに追記するなら破綻はしないだろう、というような意見をもらえると思う。